思いついても作るかこんな商品、と見つけた時は感動した。
その箸の名前は「カラ箸」。なんと持ち手の先がカラビナになっている箸だ。このデザインと製品化にかかった労力と、それに対する需要量のバランスが取れているのか疑問でしかない。しかし僕にとっては「こういうのが欲しかった!」と言わんばかりの性能を持った画期的なアイテムだった。
しかも作ったメーカーは天下のユニフレーム。安心とそして誇らしい「MADE IN JAPAN」。
まずなぜこの箸が僕の需要にぴったりだったかいう理由の説明と、実際のデザインの詳細・使用感をレビューしようと思う。
Contents
キッチン道具、全て吊るしたい
僕は以前LODGEの記事でも書いた通り、絶賛キッチン道具にハマり中だ。
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LODGEスキレットを購入。料理に興味なかった僕が料理と食器に一気に惹かれるきっかけになった。
僕は一人暮らしの歴は長く、家を出ない日は極力自炊するようにしてはいるが、料理には全くと言っていいほど興味がなかった。 こだわりがあると言えば、可能な限り安く、早く、そしてある程度美味しい料理を「サッと ...
そのそもそものきっかけはキャンプに行き出したことであり、キャンプに使う道具を家でも使いたい、いや家で使う道具をキャンプで使えるもので揃えていきたいと思っている。
普段使っているものがキャンプでも使えると、日々の食事の時間が少し楽しくなる上にミニマリスト的観点でも部屋にある物の絶対数を減らすことができる。
"吊るす"は、"置く""立てる"より衛生的、かつ使いやすい
キッチンレイアウトでの僕のこだわりは、「可能な限り吊るす」である。
食器や道具を置いたり重ねたり、立てかけたりと何かしらの土台に接していると湿気を溜めやすくなり、雑菌がわく原因になる。あと僕のキッチンは狭いので、置ける場所にかなり制限がある。
また「置く」という行為には少し時間と神経を使う。転がったり倒れたりしないよう多少なりとも慎重に置く必要があるし、食べ物が触れる場所が直接土台に触れるのもよくない。それに比べ、吊るすというのは目線も近くなるしサッと行えてストレスが少ない。
そしてなにより、吊るしていると台が汚れない。掃除の手間がかなり減る。
これらの理由からキッチンの台の上には極力物をおかず、フライパンやスポンジ、ハサミなどはすべて吊るすようにしていたのだが最近調理器具だけではなく食器にもそれが伝染した。
皿は仕方ないとして、スプーンは100均で購入した木製スプーンに穴を開けて加工。フォークはクピルカのものを購入した。パラコードを通し、家でもキャンプ場でもこれを吊るせるようにしている。
しかし、箸だけは吊るせなかった。太さのある菜箸なら紐が通っているものもあるが、通常の箸は紐を通すのも微妙だし、唯一箸だけは吊るすことを諦めていた。そこで現れたのがカラ箸、というわけだ。
キャンプ道具は吊るした方が省スペース
先ほどのキッチンと同様の理由で、キャンプ場において道具は可能な限り置くよりも吊るした方がいい。
僕のようにバイクでキャンプに行っていたりすると大きなテーブルは持っていけない。するとものを置けるスペースというのにはかなり制限がかかる上、衛生面においてもキャンプ場でテーブルの上に箸やフォークなどはそのまま置けない。器に突っ込むしか方法がない場合、器を火にかけるときに食器を置く場所を迷うこともよくあるだろう。
そこで「吊るせる」という選択肢があれば、「置く」よりも「吊るす」ほうがスペースを取らないし、ものを置ける貴重なスペースを他のものに割ける。食器のような細長いものなら尚更吊るした方が場所をとらない。
例えばこういうインディアンハンガーなどを脇に置いておくと、さっと引っ掛けられて便利である。あとなにより吊るしていると格好いい。
スノーピークの和武器などをはじめとした分解式の短くできる箸も人気だが、あれは持ち運び面で便利なわけであって、組み立てたあとは通常の箸と使い勝手は変わらない。
天才的発想。カラビナ×箸『カラ箸』
「箸の先っぽカラビナにして吊るせる箸作りましょう」
最初にこう提案した人はなんていい発想力をしてるんだろう。僕もこういう発想ができて、かつそれを実現させられるような人になりたい。
僕が購入したのはカーキ。なんとなくミリタリーを感じさせる、かなり個性的でかつ格好いいデザインでは無いだろうか。
しっかりした折れにくそうな素材
このカラ箸は素材が「PBT樹脂(ガラス繊維入り)」となっており、安っぽいプラスチックに比べしっかりと強度がある。
耐熱性も強く耐熱温度は160℃とカタログスペックにある。PBT樹脂は他に例えば自動車のドアハンドルなどの部品や釣具、スキー用品なんかにも使われている。
そんな素材だが、重さは特に普通のプラスチックの箸と大差なく、重いという印象は全く無い。
カラビナという構造上、どうしてもカラビナ機構の部分は細くなり強度が弱く折れてしまいそうな印象だが、素材の強さからそうそう荒く使わない限りは折れないだろうと手にしてみてわかった。
5角形のリング付き
これがただのポッ出のアイデア商品とか便利グッズとは違うのが、小さな工夫がしっかり凝らされている。その一つがこの「5角形リング」だ。
安易に製品化すると円形や四角のリングをつけてしまいそうだし、間違いなくその方がコストも下がる。それを5角形にすることにより吊るした時に2本の箸はしっかりと真下に揃う上に、吊るす部分が1点になるので左右にぶれず安定する。これが3角形だとリングが小さくなりすぎるし、他の角数だと安定しない。5角形が正解なのだ。
こういったところにも細かいところも妥協しない、このユニフレームの製品を高く評価したい。
ちなみにこのリングは当然外した方が使いやすいが、つけたまま使うこともできなくはない。僕は外さずにいつも食事をしている。リングを外して使う場合も、片方にリングをつけたままにしておくと、紛失する心配はない。
箸先のスクリュー凹凸
もうひとつ細かな工夫点として箸先の凹凸だ。
こういう樹脂系の箸はとにかく滑る。弁当箱についてくるチャチな箸なんかを想像したらわかるだろう。木製の箸に比べプラスチック性の箸は食べにくい。
しかしこのカラ箸は箸先にしっかり凹凸がついてある。それもただのデコボコではなく、スクリューのように螺旋型に凹凸が付けられており、かなり滑りにくい。これでパスタやラーメンなんかも食べてみたがなんの問題もなく食べることができた。
箸の形状は六角形
箸は6角形だから、置いても転がる心配がない。
カラビナがついているというイロモノっぽい箸だが、上記のように箸としてのクオリティを高く保っていることがこのカラ箸のいいところだ。
ちょっと微妙な点
使ってみて思ったのが、箸先のスクリュー凹凸が微妙に唇に当たる感覚がある。強くねぶると少し痛い。使っていくうちにその角も取れてくるのかもしれないが、細かな気になる点ではあった。
あとはこれまで竹製の普通の箸をずっと使ってきたのだが、それに比べると素材の温かみは無いというところだろう。
普段、家でも使える。
当然アウトドアで使われる想定のプロダクトだろうが、僕は普段家でも使っている。これで洗い場の箸置きをなくすことができたのだ。
このカラ箸がさらに分解して二つにセパレートできる「分割カラ箸」なんてものが出来上がったら完璧だなとか思った。3000円くらいまでなら出せる。
それはこのカラ箸のヒットがまず条件になるだろう。値段もワンコイン程度だし、興味があればぜひ買ってみて欲しい。なんとなく、すごく応援したくなる商品だ。
キャンプ道具はミリタリーで無骨な雰囲気のものも多く、それで揃えている人も多いと思う。このカラ箸はそんな雰囲気にピッタリなんじゃないかと思う。