僕は一人暮らしの歴は長く、家を出ない日は極力自炊するようにしてはいるが、料理には全くと言っていいほど興味がなかった。
こだわりがあると言えば、可能な限り安く、早く、そしてある程度美味しい料理を「サッと済ます」ことがこだわりだった。料理にかける時間は1分1秒でも短くしたい。だから野菜の皮を剥くのは特に大嫌いで、いつもすでに皮が剥かれた冷凍の野菜やそのまま炒められる野菜ばかり使っていた。
そんな僕がここ1、2ヶ月で一気に料理とキッチン用具に興味が湧いてきた。そのきっかけはキャンプをガッツリやり始めたことと、ほかでもない「LODGE(ロッジ)」のスキレットを購入したことである。
最初はキャンプ目的にスキレットを買った
まず最初のきっかけはキャンプだ。キャンプをやっているととにかくいろんな道具が欲しくなる。そういう沼に僕はドップリはまっている。
キャンプYoutuberが流行っているがそういう動画を僕もよく見る。その動画を見ていると、割と多くのキャンプ動画の、総時間の半分くらいを料理が占めていることが多かった。
料理に興味がなかった僕はこれを少し退屈に感じていたのだが、自分がキャンプにいく道具をこだわっていく上で、調理器具をどうしようという悩みはあった。
よく見ていた動画の中で一人、ロッジのスキレットを使っている人がいて、これがなぜか無性に格好よく見えた。
鉄フライパンといえば大学生の頃、100均で買った鉄フライパンに食べ物がくっつきまくり、すぐに捨てた記憶がある。そのころの僕は鉄フライパンの使い方は何にも知らなかった。
だからスキレットを扱えるのかと少し不安ではあったが、まずはと思いロッジのスキレットをキャンプ用に購入してみた。
スキレットの格好良さに虜。
いきなりキャンプ場で使うにはハードルが高い。ということで家で使うことにした。
スキレットは正しい使い方とケアがある。まずは料理を焼く前に「プレヒート」といって、食品を入れる前にスキレットをチンチンに熱してスキレット表面の微小な水分を蒸発させるという工程だ。
食品がフライパンにくっつくのはその表面の微細な水分が原因らしい。プレヒートを行うことでスキレットには食品がくっつかなくなるということだ。
このプレヒートの工程を初めて行った時に、「格好いい!」と思ってしまった。鉄のカタマリであるスキレットを煙が出るまで熱する。その工程に妙にワクワクしたものだ。
しかもその工程のおかげで本当に食品がくっつかない。テフロンのフライパンでさえくっつきかねないような調理をしても、魔法みたいにスキレットにはこびりつかないのだ。これに大層感動した。
そこからキャンプ用に購入したはずのスキレットは家でも大活躍。普段の料理でもよく使うようになった。
僕が買ったのは6 1/2インチのサイズ。持ち運びも考慮してこのサイズにしたので家で料理をするには少し小さいが、ひとり暮らしならまあ許容できるレベルだ。不安な人は8インチにしたほうが確実だ。
しかも使えば使うほど油がスキレットに馴染み、黒い色は深くなり使い込んだスキレットは油を塗らなくてもくっつかなくなるという。誤った使い方をしなければ一生モノになるそうだ。
レザーやデニムのエイジングが好きな僕にとって、「使い込むほど使いやすくなる」「一生モノ」というのは魅力でしかなかった。
LODGEという会社ができたのはなんと120年以上までの1896年、アメリカ。その歴史と純アメリカ性というところにもこの上ないロマンがある。
キッチン用品って、料理って、格好いい
僕は格好良いものを手に入れると格好良く収納したい欲が出てくる。ロッジのスキレットの佇まいは本当に格好良い。コレクター心の勢いで蓋も追って購入してしまった。
そこからキッチンの収納にこだわり始めた。もともと調理器具をはじめキッチンにあるものは衛生面と使いやすさを考慮して全て吊るすようにしていた。その中にスキレットが映えるようレイアウトを組んだ。
もともと料理にこだわる気がなかったため、悲しいかな家のキッチンはかなり狭い。なので、100均の突っ張り棒とS字フックを駆使している。
スプーンもフォークも引っ掛けられるようすべてパラコードを通している。あとはホットサンドメーメーカー。これらそのままキャンプで使うものだ。
こだわりは「重ならない」レイアウトだ。あと蓋の真下にスキレットが配置されるようにしたかった。
スプーンやフォーク、皿などの食器にも全くこだわりはなかったが、ほとんどを木製のものに買い換えた。普段どうでもよかった食器を変えるだけで、こんなにも食事の時間が豊かになるものかと驚いた。
食事は毎日行うものだ。これにこだわることは正しいことだ、と最近思うようになった。このキッチンレイアウト、食器にしてから料理と食事の度いつもテンションが上がる。
料理は楽しい。
普段使っていた包丁も使わないようにし、キャンプで使っていたナイフを使えば野菜の皮むきも楽しい。
料理の工程自体をもともと楽しめる人はいいが、僕はそういうタイプでは無くて気に入った道具を使うことが楽しいタイプだと思う。だから野菜の皮むきが楽しいんじゃ無くてナイフを使うことが楽しい。楽しみ方は人それぞれだからこれでいいと思っている。
とにかくロッジのスキレット、この存在は大きい。スキレットの代表みたいな立ち位置だから使っている人口が多く、料理や手入れなどの情報がとても多いのもいいところだ。絶妙に万能じゃない6 1/2インチだけど、自分が選んだ相棒として一生使うつもりでこれをうまく使っていきたい。