先日ソロキャンプに行ってきて、BelmontのTABIを使ってきたので使用感をレビューする。
ピコグリルと比較して購入を迷う方も多いと思うが、どうしてもその形状から比較対象にはなってしまう。というか完全にTABIはピコグリルを意識した商品ではあるだろう。
ちょうど以前ピコグリルを利用している方とキャンプを共にしたので、ピコグリルとの比較感想として書ければと思う。
Belmont TABI 新品の状態・組み立て
Belmont TABIは箱を開けると箱と同サイズの収納袋に入っている。
収納袋の大きさは縦36cm、横17.8cm、厚み1.5cmだ。重さはわずか298gと非常に軽い。
収納袋はナイロン製で強い素材ではなく、TABIの素材も薄いものや先の細いパーツが多いので、使っていたらいつか穴が空いたり破れそうな気がする。
収納袋の中にはチタン製のメインプレートが2枚と支柱になる脚が3脚、網とチタン製風防プレートが2枚。あとは説明書だ。
脚と網はステンレス製。チタンプレートは非常に薄いもので、チタン製であることで軽量ながら十分な強度を実現している。
組み立ては非常に簡単で、2枚のチタンプレートを噛み合わせ、それに脚を3脚ツメにはめる。
チタンプレートを噛み合わせた裏側にはみ出た部分で脚がきっちり固定されるため、使用時にぐらついたりブレることもなく非常に安定する。
組み立ては簡単で、慣れると3〜40秒ほどで組み立て可能だ。
ツメにはめた脚がでっぱった部分に網がハマる。これで網が奥に落ちてしまったり左右にスライドすることもない。
メインプレート端のスリットに風防プレートをはめて完成。風防プレートは必要に応じて使う形になるが、抜いておくことで長い薪を置くことも可能だ。火床の耐荷重は約15kgと、かなり重い薪を置くことができる。
このドラム缶をぶった切って脚をつけたような半円錐の形状はチタン製の風合いも相まって非常に格好いい。
ピコグリルは軽量さと圧倒的使いやすさでソロキャンパーに絶大な人気を博しているが、個人的に見た目はTABIの方が好きだ。
網は十分な広さがあり、安定性もあるので色々なものを置けそうだ。ただ網は一枚しかないので注意が必要。
網を置いていない側に五徳や鉄の串で渡すこともできるが、薪と距離が近いのでこれも注意が必要である。
地面からの距離はかなり近いので、下に防炎シートを敷いた方がよさそうだ。
ピコグリルとの比較
ピコグリルの収納サイズは34cm×23cmなのに比べTABIの収納サイズは36m×17.8cmと少し長細い。厚みは5mm分厚いがほとんど誤差の範囲と言って良さそうだ。
注目すべきはその重量で、ピコグリルに比べ150gも軽量になっている。
使用時、ピコグリルは火床から距離をとるためフレームがあり全高が高めになっている。TABIはこれがないため全高が低く、ピコグリルに比べ火床と網が近くて強火になる。
これは個人的な感想だがピコグリルは湯を沸かしたりするために強火力を得るためには薪を多くくべておく必要があると感じた。
薪を燃やすスピードは人それぞれだが、ピコグリルで少ない薪をゆっくりと燃やす場合は少し火が弱い。上の写真はピコグリルだが、ホットサンドを焼くのにも少し時間がかかった。
Belmont TABIは火床と近いため強火になりすぎるというレビューもあったが、逆にいうと火床と近いため少量の薪でも調理に必要な熱を得ることができる。
とはいいつつ、火力の調整には少し苦労した。
先日行ったソロキャンプでは肉を串刺しにして直焼きしたのだが、肉のすぐ下に薪がある状態になってしまい表面だけかなり強火で焼くことになってしまった。この日はこれを初めて使った日なので工夫と練習が必要そうだ。
またピコグリルのように底面が折れ曲がった形状をしておらず水平なので、何も考えず薪を真横に重ねると空気の通りが悪くなりすぐに火が消えてしまう。
上の写真は極端だが、薪のくべ方も何も考えず置けばいいわけではなく当然空気の通り道を考えて置いていく必要がある。
ただ底面の空気穴のおかげで燃焼効率はよく、うまくくべた時にはかなり調子良く火が回ってくれる。
ピコグリルは「く」の字に中央に向かって傾斜しているため灰が中央にたまりこぼれにくい構造になっているが、TABIは水平なため灰がかなり端から落ちる。これを考慮してもTABIには防炎シートが必須だろう。
素材にはチタンが使われているため、美しいチタン焼けを楽しむことができる。ピコグリルはステンレス製なのでこの風合いは望めない。
チタンプレートはかなり薄いため当然使用後は曲がる。ただ曲がるからと言って特別問題があるわけではなさそうだ。
またピコグリルはフレームにはめるツメが曲がったり、うまくハマらなくなったりすることもあるそうだが、TABIは構造上あまりその心配はないだろう。
ピコグリルと被りたくない人にはおすすめ
TABIを良く言うためにピコグリルのことをいろいろ言いはしたが、それでもやはりピコグリルは素晴らしい焚火台だ。
「く」の字の形になっているのは燃焼効率や灰問題も含め機能性ともに秀逸で、汎用性という面でもTABIよりも広く、初心者から熟練者まで幅広く愛される焚火だろう。
それに比べてTABIは少し不器用な印象ではあった。単体では火にかけるものを火から離せないし、全面に網などを置いてしまうと高さがないため薪がくべにくくなる。全体的な使いやすさでいうとピコグリルに軍配が上がると思う。
ただピコグリルはその性能の高さからソロキャンパーの使用率も圧倒的に高い。そのためキャンプ場でかぶることも多いだろう。
どうでもいいことかもしれないが、キャンプアイテムに個性を求めたい、極力人と被りたくないという人にはピコグリルに比べ少数派のTABIは十分お勧めできる実力は持っている。
あととにかく100gでも軽い装備を求める方にはTABIの方が軽いのはメリットだろう。
また細かいことだがピコグリルはスイスメーカーのスイス製。
Belmontはスノーピークなどと同じ日本の企業でTABIはメイドインジャパン。こういう意味でも不器用で可愛いTABIを応援したい。
また現在ピコグリルは手に入りづらい状況が続いており、見つけたとしても値段が高騰している。
そんな方には「Tokyo Camp」というメイドインジャパンのピコグリル風焚火台が4,980円という安価で売られているので、こちらもオススメだ。