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RRL Livingstone Boots

このブーツを購入するまでの経緯を話すと少し長くなるが、とにかく「惚れた」一足である。

このブーツを買うまでのいきさつ

※少し長いのでこのブーツの詳細を知りたい方は読み飛ばしてください

昔からブーツが好きで、ドクターマーチンのブーツを何足も所有していた。特にサイドゴアブーツが気に入っており、ほとんど毎日そのブーツを履いていた。通常の8ホールのブーツよりも武骨になりすぎず、それでいてフォーマルなブーツよりもカジュアルで丸みがあり、強さも備えているブーツである。「ドレス感」と「無骨さ・強さ」が同居したものが僕がブーツに求める条件だった。

少しだけ年齢を重ね、ドクターマーチンもいいがそれよりもいいブーツを履いてみたいという気持ちになり、思い立ってからはブーツ雑誌を読み漁った。

僕はバイクに乗る。車種はハーレーなのだがどうにも「ハーレーに乗っています」という服装が苦手で、特に体系が華奢な僕にとってバイカーファッションはできれば避けたい気持ちがあった。

バイク乗りのブーツといえばレッドウイングやWESCOが主流で、特にWESCOのエンジニアブーツはハーレー乗りの皆がこぞって履いていた。口をそろえて「質が良い」「頑丈」という話を聞き憧れもしたが、エンジニアブーツのゴツいシルエットはどこかモード感を残したい自分にとっては選択できなかった。

僕は革が好きだ。かといって、モードブランドによくあるドレッシーで綺麗すぎるものではなく、頑丈でいて使用すればするほど味が出る革が好きだった。

いわゆるモードブランドのブーツは新品の状態は最高に綺麗だ。形も非常に好きである。しかし、それを長年履いて使い込まれた状態が格好いいかというと少し微妙である。「使い込む」というより「新品の常に綺麗な状態を保つ」ことに重きが置かれているように感じる。ラグジュアリーであるからこそ、富豪の証として常に新品に買い替えるのだろう。

だからモードブランドのブーツとバイクは非常に相性が悪い。足で操作する以上常にダメージは覚悟しないといけない。つま先を保護するシフトガードというものもあるが、個人的にはそんな邪魔なもの付けたくない。そうしてモードブランドのブーツも選択肢から外した。

「ドレッシー」かつ「頑丈な革」。この相反する要素を兼ね備えたブーツが無いかと、半年ほどずっと雑誌やWEBを読み漁ったが、あまり見つからなかった。そんな中見つけたのがWHITE'S(ホワイツ)ブーツである。

ホワイツブーツには「セミドレス」というラインがあり、ワークブーツにドレス感を足したような形状だった。さらに、革はクロムエクセルという頑丈なオイルレザーがオーダーで選択できる。革の色やソールまで自分の好きなようにオーダーできるので、これは良いのではないかと思い、まず自分の思い描くものとできるだけ近いものを試着してみたいと考えた。しかし関西にオーダーできる店がほとんどなく、サンプルも少なかったので試着できなかった。そんな状態でいきなりオーダーするのはさすがに腰が引けた。

東京に行く機会があり、その時に多くのホワイツのサンプルがある店に赴いた。そこにセミドレスが置いてあったので試着してみたが…どうにもイメージが違った。自分が求めていたどこか「モード感」はなく、やはり「アメリカのワークブーツ」の雰囲気が強く、思ったよりもドレス感は薄かった。数カ月はホワイツを調べに調べまくり、オーダーをどうしようこうしようとぎりぎりまで悩んでいたのにも関わらず、東京まで来てこのブーツは違うとあきらめた。

途方に暮れたときに表参道を歩いているとラルフローレンの店を見つけた。その時僕はラルフローレンの腕時計を所有していて毎日身につけていたが他に身につけるラルフローレンのものは持っていなかったので、ラルフローレンのブーツでいいものがあればこの腕時計と相性がいいのになと軽く考えながら店に入ってみた。

そこで出会ったのが、この「Livingstone Boots」である。ホワイツをオーダーしようと考えてた時は絶対に黒い革で、靴紐のハトメはシルバーにしてソールはビブラム…なんて細かく考えていたのに、茶色の革、金色のハトメ、ダイナイトソールとすべて違うものだった。しかし試着してみて完全にビビッときたのである。

RRL Livingstone Bootsの紹介

とにかく惚れたのがこの横から見たシルエットで、細いパンツを履いていたその裾からつま先にかけての曲線が見事に綺麗だった。

このブーツは、「ドレスシューズ」というものが生まれる過渡期のころのデザインを模しているらしい。「Livingstone」という名称も、調べてみると1800年代のスコットランドのアフリカ探険家の名前だそうだ。ここから名前がとられている確証はないが、可能性は高い。

RRLにはもうひとつ「BOWERY BOOTS」というベッカムも履いている有名なブーツがある。こちらは「Julian Boots」というアメリカのワークブーツに影響を受けたイギリスのブーツブランドが制作しているそうである。このLivingstone Bootsもイギリス製とのことで、同じところで制作された可能性もある。

つま先の形も僕が求める「ドレス感」と「無骨さ」が見事に同居する、尖りすぎず丸すぎない絶妙な曲線である。キャップトゥもシンプルになりすぎないアクセントとして非常にいいアクセントになっている。またこのコバの仕上げ、でっぱりの少なさはホワイツの靴では見れなかった丁寧な仕上げで、これもまたドレス感を強くするポイントである。

シルエットが綺麗なだけでは選ばなかったが、このブーツは店員さんによると「クロムエクセル」であるという。まさに僕が求めていた革であったので驚いた。その革質のおかげで、ドレスになりすぎないどこか土臭い、武骨なオーラもまとっていた。

履いた感想としてはとても馴染みやすく、はじめから歩きやすい。最初はすこし靴ずれしたが、比較的柔らかく温度でさらに馴染むのでとても履きやすい革質である。

少し傷はつきやすいが、ブラシで磨けば簡単な傷はすぐに消える。色が剥げてしまってもクリームで補色すればすぐに目立たなくなった。手入れの頻度次第で色が薄くも濃くもなるブーツである。

トリッカーズのブーツにもよくみられるダイナイトソール。はじめはビブラムソールしか頭になかったが、ソールによる雰囲気の違いも思ったより大きい。このダイナイトソールはドレス系のレインシューズにも使われるほど薄く上品で、それでいてグリップ性も高い優秀なソールである。

腕時計と同じく少し背伸びしたブーツであったが、非常に満足している一品である。

これまで所有してきたのは黒いブーツばかりであり、茶色のブーツを所有するのは実はこのブーツが初めてだった。茶色い靴は黒い靴に比べてとても手入れのしがいがあり、使用するクリームなどによって表情が大きく変わりそうだ。購入してから1年半ほど経過するが、まだまだこれから長い年月履いていく中でどうエイジングしていくか非常に楽しみである。

きっとこれはかなり齢をとっても格好良く履ける靴なので、これからも大切にかつハードに履いて自分のモノにしていこうと思う。

RALPH LAUREN オートモーティブ・クロノメーター 45mm

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